七竈の食器棚

徒然なるものを竃につめこんで。

マザーブックスに浪費する女

 最近私がハマってる本があります。

 

劇団雌猫さんの「浪費図鑑」です。

 

f:id:strawberrytart0509:20200918225027j:image

浪費図鑑 ―悪友たちのないしょ話― | 小学館

 

 

これ、昨年の冬コミで話題になった同人誌「悪友〜浪費〜」という本が商業作品になったものなんですね。私はこの「悪友」をツイッターの二次元垢で知りました。綿密なアンケートに、出てくる浪費話がまあ濃ゆい濃ゆい。私も趣味で浪費しまくってるのですが、本当に濃ゆい。私の浪費なんかちっぽけだなと思うくらいです。……それでも浪費は浪費なんですけどね!!

 


で、この本を読んでから私は何に浪費してるだろうと考えるようになって。


一番はアイドルかなと。かかる単位が違うし。でも全部買ってるわけではない。


次は雑誌。でもずっと買ってた雑誌を最近買うのやめたしなあ。


漫画?確かに買ってはいるけどどうだろう。


コスメ。プチプラばっかだなー。

 


……と考えてるうちに気づいたことがあります。自分語りですが、劇団雌猫さんの浪費図鑑風にそれについて語ります。

 

 

 

 

 


「マザーブックスに浪費する女」


皆さんは絶対これはこの会社の商品しか買わない!!っていうのはありますか。私は、あります。できる限りそこで買うようにしているというものがあります。
それは、本や雑誌です。私は大学の最寄駅の近くの「マザーブックス」という本屋でしか、基本雑誌や本を買いません。チェーン店ではない本屋です。絵本コーナーが広目にとってあり、雑誌、漫画、文庫本、カバンやポーチがつくムック本も多数取り揃えてある本屋です。最近は封筒や文房具なども多く置くようになりました。できたのは私が大学に入学した春。別の場所にあった店舗が移転してきて、その場所にあるそうです。
特定して利用しているといってもここ一年半くらいのことで、それ以前も利用していましたが、こだわるようになったのは昨年の2月からです。


その時私は、実習中の身でした。ある資格を取得するために決められた場所で実習していたのですが、その帰りにiPhoneが動かなくなりました。私は家が厳しく、乗る電車の時刻もしっかり言うように言いつけられています。電話もLINEもメールもできない。しかも実習先の仲間たちとの発表の日も迫っていて、家に帰ってからの打ち合わせも話し合いもこれではできない!!近くのauショップに駆け込まないといけない!!(当時私はauキャリアのiPhoneだった)
が、場所が分からない!!! 


私はよほど気が動転していたらしく、その本屋の地図コーナーに行ってその市町村の地図帳を見ると言う行動に出ました。今思えばなぜわざわざ地図帳見に行ったのか。国道とか高速道路くらいしか載ってないのに。「どうかしてるぜ!!」と私の中のブラマヨ吉田が叫んでる。実際地図見てもさっぱりわかりませんでした。15分ほど格闘し(長い)とにかく困り果てた私は、レジにいた顔なじみのある、店長さんに言いました。(すでに店長さんは挙動不審な私をめっちゃ見てた。)


「申し訳ありません、近くのauショップの場所を教えてもらえないでしょうか……。」


なぜそうなったの経緯を説明し、店長さんがレジにあるパソコン(本の注文のために検索するためにあります。)で検索してくれました。幸い、カメラ機能は生きていたので地図の写真を撮らせてもらおうとしたら。


「小さくて見辛いでしょー。プリントアウトしますよー。」


と、プリントアウトしてくださったのでした。めっちゃお礼を言って、auショップに駆け込めたのでした(結果的には買った店に行かないとわからないということだったけれども)。


その後、私はなんとか実習を終え実習の帰りに本屋さんに寄りました。すると、店長さんが「ケータイどうなりました?」と。無事修理できたことを伝えると「よかった、気になってたんですよ。あの時泣きそうになってたでしょう。」と。


店長さんはあの時本当に救いの神だった。それ以来私は、その店長さんさんに恩を感じ基本的に本や雑誌はそこで買うようにしている。その本屋に欲しい本がなければ注文し、あれば買う。母の探していた亀梨くんの本も、山田くんが載った雑誌も、自分の好きなマンガ、小説もそこで買っている。好きな雑誌もそこに置いているので買っている。卒論の資料となる雑誌も、就職のための本もそこで購入してきた。……総額は計算したくない。


だが、それもあと残り半年ほどだ。私はあと半年で、大学を卒業する。就職先は地元なので、その本屋に行くことはほぼなくなることが確定している。実際、店長さんにも「今年でもう卒業かー。就職活動やねー。」と言われたり、就職が決まったことを報告したら「もうここには来なくなるのかー。さみしいねー。」と言われた。……たしかに、寂しい。なんならこれを書いている今、私は涙ぐんでいる。


本当に、よくその本屋を利用させてもらった。立ち読みしていてと注意されたことはないし(買えよ)、バスや電車の待ち時間ができるとその本屋に直行していた。「この本ありますかー。」と聞いたら、注文しなかったのに次に行ったら置いてあったことがあってなんだか嬉しかった(申し訳ないことに既に買った後だった。実習前の話だ)。先日も、集めた漫画の抜けている巻だけを注文したら次に行ったらその漫画のシリーズが全部揃えられていた(でも既に持っているんだ店長さんごめん)。布教用にその漫画を全巻買いたいが、経済的にそれを行なったら立ち行かなくなる。それができない自分がとても歯がゆい。


今、街の本屋は次々と閉店している。この本屋には残っていてほしいと、ずっとそこで購入してきた。でも、その時間も後わずかだ。たくさんのものをその本屋で買ってきた。「わざわざその本屋で買わなくても」と友達に突っ込まれたこともある。別の本屋でのいい特典を無視して、好きな作家のカレンダーを注文したこともある。実習先のお礼の手紙の封筒や便箋も買った。友達とのプレゼント交換でのプレゼントもそこの本屋のアクセサリーコーナーで買った。特典を無視しても、家からの距離も無視しても、私はその本屋にこだわり続けた。人は私をバカだと言うだろう。でもバカでいい。そう言われてもいい。


あの寒い冬の日、私は本当に店長さんの対応が嬉しかったのだ。本屋さんで、本を買うこと以外でこんなことがあると私は思いもしなかった。結果的にケータイは駆け込んだ店では治らなかったけれど、私は十分満足した気分だった。ケータイが壊れて不安だったが、とても暖かな気分で帰路につけた。だが、そのお礼の購入も、あと少しだ。


その本屋で最後に買おうと決めているものがある。大好きな漫画「黒子のバスケ EXTRA GAME」の後編だ。発売後購入しないまま、気づけば一年以上経つ。結末も知っているが、なんとなく買えないでいた。


早く読みたい気もする。でも、永遠に買える日が来ないで欲しいと思う。でもその日は確実に近づいている。私はそれを数えることを無視しながら、今日もマザーブックスで本を買う。