七竈の食器棚

徒然なるものを竃につめこんで。

突然だが「ヴァンパイア・ラブストーリー」シリーズについて語らせてくれ。

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タイトル通りです。


  私は、ポプラ社刊行の名木田恵子さん作・挿絵かやまゆみさんの「ヴァンパイア・ラブストーリーシリーズ」が大好きだ!!!!

……これはおそらく、いや間違いなくマイナー作品だ。なぜなら、児童書であり、全4巻しかないからである!!!このしょっぱなに貼ってある表紙画像全部しかない!!


 本来なら、名木田恵子さん作、挿絵かやまゆみさんのコンビが「ふーことユーレイ」シリーズに次ぐくらいの長編シリーズになったであろうこの作品は、諸事情、というか悲しい事情で4巻で完結しています。


 amazonの紹介文に至っては、この4巻は「突然の最終章」と書かれているくらい唐突に終わっています。伏線も全部回収されず!!(それはあとがきで名木田先生も謝罪なさってました。)

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  私がこの本を読んだのは、小学4年生の時。初めて行った隣町の大きな図書館の児童書コーナーに、3巻だけが置かれていました。タイトルが気になって「1と2は借りられてるのかなー」と図書館の蔵書検索をしたところ。まさかの、"書庫の中"でした。Why Japanese people!? なんでまた1と2だけ書庫!?逆にめっさ気になるわ!!と出してもらって3巻まで借りたのが沼の始まりでした……。


 全巻欲しいのですが、児童書のうえに絶版であるため非常に手に入りづらくとても苦しいのです。が、一年に何度かどうしても読みたい熱が上がるのです。すみません、ガンガン語ります。長文出まくります。


あわよくば復刊しないかなとも願いを込めて愛を語ります。


がっつり語るのでネタバレしまくってます。それが嫌だという方はUターンなさってください。




沼に落ちたきっかけ①

ホントに児童書ですか!?ってほど濃ゆい設定


まずそれを語るためにはあらすじから説明しなければいけません。


 1巻の舞台は、2003年の日本。ある私立中学に通う、樹音という女の子が世話をしていたバラ園の"赤いバラだけ"が全部盗まれたところから始まります。樹音はバラを育てる名人で、とても美しい赤いバラが学校のバラ園で咲き誇っていました。落胆すると思いきや、樹音は自分でも分からないのに「見つけてくれたのね……」とつぶやきます。誰に見つけてもらったのかわからない。でも、なんだかホッとしているしとても嬉しい……。

 その後、樹音はバラ園で黒髪のとても美しい男の子と出会います。その瞬間に、倒れてしまうのです。


 しかし、樹音は次に目覚めるまでに夢を見ます。……それは、自分の前世、そして樹音が本当は何者かということを思い出す、"過去の記憶"の夢でした。


 樹音は、本当は地図にももう残っていないヨーロッパの小国"ディアドラ"に住む、"アンジュネリー・ブランシュ"、通称・ジュネいう女の子。その国で、王子ジルベール、通称・ジルと恋に落ちます。


 しかし、ジルの兄・レッドバルトによるクーデターが起き、ジルはヴァンパイアにされます。ジュネもわずか15歳で命を落としました。

その後、呪術使いの祖母・メリッラがジュネの肺に植えた"ディアドラのバラ"によりジュネはどの時代、どの世界でも永遠に転生できることになりました。


 ジュネは転生先でバラを吐き、吐き尽くしたら命を終える。また、吐き尽くさなくても13年でその命を終えてしまう。ジルは完全なヴァンパイアにならないために、人の血を吸わないことを誓い、ジュネが吐くバラだけを食べることを誓います。


 転生したジュネを追いジルは時空の旅に出て、転生先でまたジュネと出会い……と二人は転生先で出会うことで永遠に恋人でいられるという運命にあるのです。そしていくつもの時代を巡り巡って、2003年の日本に生まれたのでした。

……そう、ジュネが倒れる前に出会った黒髪の男の子は転生したジュネを追ってきた恋人であるジルだったのです。






……いやこの時点でめっちゃ濃ゆい!!


 児童書なのか本当にこれ。私が転生を知ったのはこの作品からです。


バラを吐く!?それを食べるヴァンパイア!?永遠に転生!!?と今思ってもかなりすごい設定。


……ちなみにこの永遠の転生ループは、ジルとジュネが転生先で出会えなかったら終わりだったと思いますたしか。だからジルも必死で孤独な時空の旅に出てジュネを追いかけるんだったはず。ジュネは転生先ではジルと出会わない限り、自分が"アンジュネリー・ブランシュ"であり、"ジルの恋人"であることを思い出せません。


……切ない!!ジルは転生先のジュネに出会えなければ、自分のことを思い出してももらえないんですよ!!しかも出会えなければジュネと会えない、孤独な永遠の時を過ごさないといけないんですよ!!


話それるけど今思えばこれめっちゃ「前前前世」の歌詞とマッチする。


君の前前前世から僕は 君を探し始めたよ……


ダメです歌詞読んだだけで泣きそう。(勝手に泣け)ちなみにジュネがディアドラで死んだのは、1337年の設定。一巻の舞台は2003年なので、666年後です。


……666という数字に反応した方はいらっしゃいますか?私は読んだ当時は一つもピンときませんでした。むしろこの本でその数字が不吉と知りました。



「666」という数字は、キリスト教や聖書の中で不吉な数字なんだそうです。悪魔の数字とも言われます。聖書「ヨハネの黙示録」の中に登場する獣の数(キリスト教に対する敵の数)が666なんだそうです。これが、この物語にも関係してきます。



沼にはまったきっかけ②

時空を超えた三角関係



  先ほど、あらすじの中でジルの兄・レッドバルトがクーデターを起こしてジルをヴァンパイアにしたと書きました、実は、このレッドバルトはジュネの祖母・メリッラの弟子であり呪術も使える人間で、兄である自分よりも父である王に愛される弟・ジルを憎んでいました。かつ、彼はジュネのことを密かに愛していました。レッドバルトとジュネの出会いは2巻に詳しく書かれていますが、レッドバルトがジュネに執着している様子が事細かく書かれています。(ぶっちゃけその様子は怖かった。)


 レッドバルトがクーデターを起こしたのは、ジルに王位を奪われるかもしれないという恐れと、ジュネを手に入れるためでした。そして、呪術を使って悪魔を目覚めさせ、ディアドラを思い通りに支配しようとしていました。ですが、ディアドラの教会の鐘に封じ込められた悪魔の封印を解こうとした際、それを防ごうとしたジルを殺そうとして……。それを庇ったジュネ。レッドバルトは、勢いを止められず想い人を間違って刺し殺したのでした。


 その後ジュネの遺体をメリッラに持って行って生き返らせようとするレッドバルト。相当レッドバルトはジュネを好きだったんだと思います。(そんでもってジルは悪魔によりその間ヴァンパイアにされました。)


 が、あらすじに書いたように生き返ったジュネはメリッラの手により転生の旅に。レッドバルトもそれを追って時空の旅に出ます。想い人を今度こそ自分のものにするために。


 この物語は、転生するジュネと、それを追いかけて時空を旅する二人の男の三角関係も描いてるのです。


 1巻でジルとジュネが出会ったあと、レッドバルトは臨時教諭として二人の前に現れます。2003年は、この3人の時空の旅が始まって666年という、悪魔的な節目の年。さまざまな時空の歪みにより、今までうまくいっていた転生にも影響が出始めており、かつレッドバルトの手下である悪魔たちが強力な力をつけていたのでした。そして二人はレッドバルトにより引き裂かれ、バラを吐き尽くしたジュネは死に、その遺体はレッドバルトに奪われたのでした。



改めてなんだこの濃ゆい児童書。



沼にはまったきっかけ③

本当に突然すぎる終わり


1巻「バラのしるしは愛の言葉」は日本を舞台にしたこのシリーズの始まり。

2巻「恋の予感はバラの香り」はなぜジルとジュネ、そしてレッドバルトは時空を超えた旅をしているかを詳しく振り返り。

3巻「愛を探してバラの迷路」は666年という影響が出始めた時空のループの中で、転生ではない形でジュネは古代ギリシャに飛びます。




3巻まで一気に読み、私は慌てて次を読み漁りました。




4巻「バラの耳飾りは恋のきらめき」


この巻の舞台は、革命が起こり、ルイ16世が処刑された直後のフランス。ジュネは無事(?)転生し、貴族の娘になっていました。そして、義理の父の命令により、レッドバルトと結婚することになっており……という始まり。


 ジルと無事出会えたジュネですが、ジュネの中でまだバラが育っておらず苦しむ2人。そこに呪いのローズカットのダイヤのイヤリングがこの物語の中で複雑に絡み合い、さらに複雑なこの4巻。


ドキドキしながら読み進めていくと……。


呪いのダイヤをジュネが飲んで、バラが急速に育ちジュネがバラを吐きます。……が、なんかおかしい。


 バラを吐き尽くしたからジュネが死んでしまうのはわかります。が、それにしてもなんかジュネの死ぬ様子がおかしい。『闇に堕ちる。違う、もっと、深い闇……。』というジュネのモノローグ。冷たくなっていくジュネを抱き抱え必死で呼ぶジル。それを奪おうとするレッドバルト。


「せめて!せめて最後に息のあるうちにこの胸に!!!」


と叫ぶレッドバルト。え、待ってなんでこんなに必死なの……!?次の転生で会えばいいのでは?と思いながら嫌な予感が。あとがきまで読み進めていくうちに……。




「書きたいことはたくさんありましたが、ここで終えることにします。」



……挿絵を描いていた、かやまゆみさんが、病気で亡くなられたのでした。


 名木田恵子さんとかやまゆみさんは、この「ヴァンパイア・ラブストーリー」シリーズの前の、「ふーことユーレイ」シリーズで長年コンビを組んで作品を作っていらしたそうです。そして、「ふーことユーレイ」が完結し、「ヴァンパイア・ラブストーリー」が始まったのですが、かやまさんが病気になられたのでした。4巻の挿絵や表紙は、かやまさんが入退院を繰り返しながら描かれたそうです。


 名木田さんもかやまさんの死にショックを受け、かつ、かやまさんの絵以外でのこのシリーズが考えられない、という決断でこの物語は突然、終わってしまったのでした。








 非常にショックを受けた終わりだったものの、このシリーズはのちのちの私に大きな影響を及ぼしました。(いろんな意味で)


 まず、永遠の時を生きるヴァンパイアという存在をこの本で知りました。血を飲まず、愛する人が吐くバラを食べ、そのために口づけを交わすヴァンパイアのジルとその恋人のジュネに憧れました。ジルが特殊なヴァンパイアだというのは重々承知ですが、ついヴァンパイアと聞くとこのジルを想像します。


 宝石に興味を持つようになったのもこのシリーズからです。特にイヤリング。ピアスをつけないのも、イヤリングが好きだからかもしれません。いつかお金が貯まったらローズカットのダイヤのイヤリングを買おうと本気で決めています。


また、何事にも終わりは突然やってくるのだとこの本で知らされました。人は必ず亡くなり、永遠なんてないことも。



 

 

……他にもあるんですけどね、影響。でも一番の影響は。


性癖に影響出すぎました。


・禁断の恋

・三角関係

・転生

・永遠の愛


……がっつりこの本で目覚めました。キスのこと、口づけって書きたがるのもたぶんこの本からです。あと黒髪の美少年見ると「……ジルみたいなかっこさせたいな」となります。だいぶ危うい。


 

 私はその後、何度もなんどもこの4冊を借りまくり、書庫にしまわれてた1巻、2巻を普通に本棚に並べてもらえるようにまでなるまで借り(どんだけ借りたんでしょうホント)、読みまくりました。このことを友人に話したら「じゃあまたその性癖に目覚める子が何人も生まれてるわけか七竃のせいで……」と言われました。でも面白いんだよ……。


 最初に書いたように、この本は絶版しているので手に入れるのが難しいです。あったとしても一冊が安くても4000円したりします。高くて20000円でした。ひい。


もう一度その図書館に借りに行くしか、ほぼ方法はありません。


……ないでしょうけど、復刊しないかなあ……と思いながら約10年が経ちます。しかし、誰に話してもこの本のことを知らない人の方がやはり多いため、知って欲しくて思いのままに書いてしまいました。


最後まで読んでくださって、ありがとうございました。


願わくば、名木田恵子先生、ポプラ社のみなさま、そして、故・かやまゆみ先生のファンの方や関係者の方に届きますように。