七竈の食器棚

徒然なるものを竃につめこんで。

24歳ジャニオタ、ハガキにハマる。

 東京都中央区、東京都港区赤坂、東京都千代田区…。すっかりもう指になじんだ地名たち。私はここ半年ほど、ひたすら東京宛にハガキを書いている。『an・an』の住所は特に諳んじれそうなほど書いてきた。ありがたいことに、それほど私の推しは『an・an』に載せていただいた。あと要望のハガキも結構送ったな。

 中央区、という字を見ると"目黒"と"恵比寿"という地名を聞いた時と同じくらいニマニマしてしまう。『FINEBOYS』編集部がある日之出出版も、『an・an』編集部があるマガジンハウスも、そして『AERA』が発行されている朝日新聞出版も、中央区にあるからだ。テレビ局が多いのは港区な気がする。といってもTBSさんに推しのレギュラー番組がある故にハガキを送ってるからのような気がしているけれど。

 

 

 

 私はこれまでジャニオタを12年やってきているけれど、ここまでハガキを書いたことは実はなかった。雑誌に投稿をしたことは2回ほどあるが、それもメールで、いわゆるお便りコーナーで、だ。アンケートハガキがついているのは見たこともあるし、『撮影グッズプレゼント』の文字も、アイドルが持っている可愛い商品の懸賞ページももちろん見たことはあるし、推しがそこに載っていたら切り取っていた。だが、ついぞその懸賞に応募したことも、ましてアンケートハガキを送ったこともなかった。

 それが、2020年になってからとにかく出版社やテレビ局にハガキを送りまくっている。そして、Twitterで #スノ担ハガキ部 のハッシュタグをつけては写真を載せている。一番古いハッシュタグは、5月の下旬の投稿だ。FINEBOYSにSnow Man目黒くんが単独表紙を飾らせてもらった上に、それを重版してくださったお礼のハガキだ。そして私は毎月1回は必ず、多い時は3回ほどハガキを書いて送っている。

 

 

 そもそも私が推しのお世話になっている会社にハガキを送り出したきっかけは、Snow Manが主演した舞台、『滝沢歌舞伎ZERO』だった。私は『滝沢歌舞伎ZERO』の公演のあとにSnow Manにハマったので、『滝沢歌舞伎ZERO』の情報を得ようにも過去のレポ雑誌やTwitterなどしかなかった。私がそれまで好きなジャニーズが、ジャニーズ特有の舞台に出たことがデビューしてからは一回しかなかった為、『滝沢歌舞伎』も知識としては知っていてもどんな舞台なのか未知の領域だった。ジャニーズで歌舞伎をしているんだろうな、とは思っていた。でも時々流れてくる写真や映像でずぶ濡れになっていたな…?という認識だった。

 過去の雑誌で読む『滝沢歌舞伎ZERO』は、煌びやかな和のエンターテインメントの世界がそこには広がって…いたのだがなんせ予備知識があまりにもないため、分かるようで分からなかった。というかめっちゃ演目がある。色々やってる。『歌舞伎』というタイトルだけど歌舞伎以外もやってるのね…。変面?殺陣?え、総踊りとは??そして鼠小僧とは???あ、ずぶ濡れになってるのこれなのね。山田涼介くんがジャニワ初演で綱渡りやったり赤穂浪士やったりしたようなものか。それにしてもめっちゃ色々あるな。

 

うん、これ見たほうが早いわ。映像化…されてねえええ!!!

 

 となって頭を抱えたのが2019年6月後半から7月上旬の話。まあ『滝沢歌舞伎ZERO』の公演終了から1ヶ月と少し経ったくらいだったし、何よりSnow ManはドラマだったりいろいろとJr.だけど仕事が決まってて忙しそうだった。YouTubeもあるし。だから映像化するとしたら早くても、もう2ヶ月ほど先だろう。それに、Hey! Say! JUMPの主演したジャニーズ・ワールドが映像化されてないように、ジャニーズ主演であっても映像化は確定されていない。DVDは撮影していたみたいだけどさ…。

 

 ということで私はひたすらお知らせを待つことにした。…が、それから3ヶ月ほど後、私はなかなか衝撃を受ける一文を見つけたのだ。それは、タッキーこと滝沢秀明副社長のファンの方の過去の呟きだった。

 

滝沢歌舞伎って映像化はだいたい二年毎よね』

 

…に、二年毎?え、たしか2018年って映像化されてたっけ…。 

 

されてる!がっつりされてる!!え、じゃあ私が滝沢歌舞伎ZEROを見るには来年の公演に行くか、それの映像化まで待たないといけないってこと!?うわありそう!『東京オリンピックの中行った公演の待望の映像化!!』とかの謳い文句で売り出しそう!!!

 

と思って危機感を感じ、私は翌日の仕事の帰りに百均に駆け込んで、歌舞伎っぽい柄のシールやマステや筆ペン、そしてハガキを買い込んだ。

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 自分がちゃんと『滝沢歌舞伎ZERO』の世界観を知りたい、と思ったのもあるが、何より私は、9人になったSnow Manの激闘の成果を映像として残して欲しかったのだ。

 この『滝沢歌舞伎ZERO』をSnow Manが引き継いだ報道を見た時、私は会見にメインで映る6人と、後ろにいるジャニーズJr.たちをぼんやりとJUMP担(どっちかというとスト推し)としての目線で見ていた。『まあ、ある意味妥当だよなあ。それにしてもよかったなあSnow Man担さんたち…。Snow Manもおめでとう』と。

 

 それが9人での主演に切り替わったのが、その半月後のことだった。いや本当に衝撃だった。そして、加入したメンバーに後の自担になる目黒蓮くんがいたことも。亀梨くんを好きな身近な人の影響で、目黒蓮くんは名前だけは知ってる状態だったのだ。そしてしばらく、JUMPとストでフォローしてるはずのTwitterでのタイムラインでも、見るに耐えない誹謗中傷が目に入っていた。主に加入組への罵倒。そして6人へのどうして?という気持ちと、会社への罵倒タッキーへの罵倒。そして『これがうちじゃなくてよかったー』という謎の安堵のツイート。なんというか、悲しいカオスがそこに広がっていた。

 

 当時他担であった私にもそれが目に入っていたのだから、当の本人たちにもその声は届いているだろうなとは当時から思っていた。実際届いていた。ポスターに加入組の写真にだけ引っ掻き傷でバツをつけられていた事件のことが。そして声を上げた目黒くんのブログのことも、それを非難する声も、援護する声も他担の私にも流れてきた。『あぁ、Snow Man頑張れ。他担だけどさ、私。頑張れほんと…』と、外野ながら思っていた。5月5日の公演で最年長のふっかこと、深澤辰哉くんが泣いて『辛かった』『僕だけじゃ守れないんです。だから、皆さんも力を貸してください』と言ったことも回ってきて、もらい泣きしそうになった。とにかく、9人に報われて欲しいと思った。

 

 そして、その半年後私は目黒くん沼にどっぷり浸かっていて2019年秋になっていた。Snow Manにハマる前、そしてハマってからの色々なことが頭によぎりながら、とにかく、思いを10センチ×15センチの白い世界に目一杯書いた。書いて、書いて、書いて、送り続けた。

 私にハガキを送る大切さを教えてくれた亀梨担さんたちのいろんなハガキを参考にしながら、とにかく送りまくった。

 

いやでも今見返してもほんとすごいし流れもすごいので、#亀梨和也ソロコン映像化希望 のハッシュタグを見るか、自分のブログですけど皆さん読んで欲しい。ハガキすごいよ、そして執念も。

ハガキが掴んだチケットとDVD〜他担から見た亀梨和也ソロコン映像化備忘録〜 - 七竈の食器棚

 

 ただ私は、滝沢歌舞伎ZEROが見たくてたまらなくて書いていただけだった。だが私は、この白い小さな世界に彼らのことを関連付けてデコレーションしたり文字を書くことを、『楽しい』と思い始めた。

 

この着物のシール、お丸さんっぽいな。

あ、この隈取りの顔、ひーくんの五右衛門みたいな顔してる。

ちょっと空いてるスペースにあべぞうの『令和』入れようかな。

いや、やっぱここは『ひらりと桜』にかけて桜の花びらのマステ貼ろうか…。

 

とにかく『滝沢歌舞伎ZERO』の映像化希望をメインに書きつつ、隙間にデコレーションをすることが楽しくなった。

 

 そして、2019年冬まで私は送り続けたのだが…私は一旦燃え尽きた。というか2020年始めから職場が医療現場である故にいろいろと怒涛だったのだ。あとSnow Manのデビューラッシュ。そして山田涼介くんの映画公開。ドッタバタでハガキを全然書けなかった。

 

 そしてそんなこんなでドタバタしてたら、2月下旬に滝沢歌舞伎ZEROの映像化が決まった。声をあげて歓喜した。よっしゃ!滝沢歌舞伎ZEROが見れる!!だって今年行けるか、ていうかやるかわかんないしほんとに!!!と思っていた。実際公演できなくなったので、映像化されて本当に嬉しかった。

 

 ハガキを送ったことがきっかけで映像化された、とは正直思ってはいない。少なくとも『DVDをご覧の皆さん』というお丸さんの挨拶のレポは上がっていたから。どこかで映像化されるだろうけどいつされるかは分からないと思っていた。単体ではなくても、あるとしたら2020年公演の初回限定盤特典かなとかも思っていたし。

 

 だが、私がこれまで以上にハガキを書くことにハマったのは、確実に出版社にその声が届いていることが見え始めたからだ。

 実は私は、老眼の母に代わってアンケートハガキを代行している。母が定期購読している美容雑誌のアンケートページの質問、ならびにハガキの質問が非常に字が小さくて読みづらいのだ。メガネをかけた上で虫眼鏡で目を凝らして読んで書こうとしている母を見ていられず、私が母にその文字を読んで、質問に答えてもらって書く、というのが毎月恒例の行事になった。そして、少しわがままを言って『今美容術を聞きたい方は?』などの質問に『渡辺翔太くん』と書かせてもらっていた。母はその美容雑誌が大好きだ。雑誌業界もなかなか厳しい。ましてや、このコロナ禍で化粧品を主に取り扱う美容雑誌も、相当大変だろう。雑誌でもなんでも、続けていくには買う、そして声を届けるしかない。私は母の好きな世界のためにも、協力していた。

 

 そんなある日、その雑誌に渡辺翔太くんが載ることになったのだ。その知らせを知った時、『アンケートで、何度か書いていたけどもしかして届いていた…?』とぼんやりと思った。いや美容ということで渡辺担のお姉様方(勝手に私はスノ担はお姉様が多いと思っている)が送っていたのだろうとは思うけれど。でも、好きなグループの、それもメンバーの好きな世界にまつわる仕事に自分の声が届いたのかもしれないと思うと、ちょっと嬉しかった。そして、その少し後にこんな呟きが回ってきた。

 これは、日経ヘルスという美容と健康の雑誌に渡辺翔太くんが載った時の、お礼のハガキに関しての出版社のツイートだ。

日経ヘルス(公式) on Twitter: "8月号では Snow Man #渡辺翔太 さんのインタビュー記事にたくさんの反響をいただき、ありがとうございます。丁寧に書いてくださったお葉書がこんなにたくさん編集部に届きました‼️感激です(T . T) 渡辺くんにまた出ていただける日が来るよう頑張っていきたいと思います😆 #日経ヘルス… https://t.co/V1ZOydXBR9"

 

 

一面の、彼のメンバーカラーである青に染まったハガキたち。そして素敵なデコレーションたち。

 

なんて、綺麗なのだろう。その途端に、『滝沢歌舞伎ZERO』の要望ハガキを送っていた時のことが蘇った。

 

 あの時、私はとても楽しかった。元から、絵を描いたりお話を書いたり、真っ白な世界に自分の世界を作ることが大好きだった。大学時代、退任される教授に送るアルバムをデコレーションしたことがある。教授が好きそうな可愛らしいお花や、アンティークの飾りが印刷されたマスキングテープや紙で三時間かけてデコレーションした。フリル柄のマスキングテープを切って、タイトルの周りに楕円形になるように細かく角度をつけて貼って…と、自分なりに凝った。私は楽しくデコレーションしただけだけど、教授にも友達にもめっちゃ驚かれたし喜ばれた。教授が喜んでいる姿がとても嬉しかった。

 

『あの時のように、楽しいハガキを書きたい。っていうかなんかやりたい。いや充分楽しいけどなんか、何か楽しみが欲しい』

 

 コロナによる自粛が少しずつ緩和された、といってもまだまだ色濃く影響が残っている時で、私は職場と家を往復する日々が続いていた。Snow Manはありがたいことに雑誌にめっちゃ載せていただいていた。

 アイドル誌は新たな撮影が難しいため、過去の企画の振り返り企画などをやっていたり、私の知らないSnow Manがいて楽しかった。でもどこにも出かけられないストレスは溜まる一方ではあった。大きな本屋が近くにないため、通販でひたすら雑誌を買う日々が続いていた。

 今までは大型の本屋に行って立ち読みしたりブラブラしながら雑誌を買うことができたし、それが大好きだったのに。バックナンバーを見つけて思いがけない記事を読んで買って帰る…という昨年の夏に楽しんでたことが、今年は一切できていない。

 

『このコロナ禍でも楽しい雑誌を作ってくれた出版社にお礼をしよう。ていうかハガキ書いて楽しもう』

 

 ちょうど、目黒くんが単独掲載されたBAILAにまだハガキを書けていなかった。『滝沢歌舞伎ZERO』の映像化の要望ハガキために買っていたハガキやペンを引っ張り出し、ハガキを書いた。BAILAさんとタイトルは今月号はオレンジ色だった、あ、そういえば目黒くんが着ていたパジャマ可愛かったな、あれ何色だっけな…と、雑誌のページを再度開いて、いろいろ考えながら書いた。

 

 FINEBOYSへの重版と表紙のお礼のハガキ以来書いたハガキは、ちょっとだけ不格好だった。満足はしてるけど、もっと、もっと素敵なハガキを書きたい。ていうかやっぱり楽しいわ…。

 

 それからというもの、私は #スノ担ハガキ部 のハッシュタグを検索していろんなハガキを見て、お礼のハガキを書くようになった。ありがたいことにSnow Manも目黒くんもたくさん雑誌に載せていただいた。そしてテレビにも出させていただいた。送り先はたくさんあった。

 

 女性誌に載せてもらったし、お花のマスキングテープ貼ろうかな。阿部くんの爽やかな緑を意識したいな。康二くんが載ってたし、オレンジのマスキングテープにしようか。この目黒くんの衣装好きだからちょっと柄をハガキに描こうかな。

 

 切手にもこだわり始めた。このコロナ禍で、出版社やテレビ局のスタッフさん達も距離を考えて撮ったり、今までならできた特集が難しいはずだ。裏面まで見るか分からないけど、面白い切手を貼って笑ってもらえたら嬉しいな。そんなことを思ってお相撲さんの切手を買ったり、柄を選ぶようになった。日本郵便のサイトをアクセスしては、楽しい柄の切手の情報を見るのが楽しみになった。

 

 そんなこんなで、この5月から #スノ担ハガキ部 のタグをつけて投稿したハガキを数えてみると、28枚。アンケートハガキを含めると30枚は優に超える。これでも私はたぶん少ない方だと思う。主に雑誌に送っているから。…でも待ってどんだけ雑誌買ったんだ私。額を考えると恐ろしい。

 

 何もそこまでしなくても、と思われるかもしれない。自己満足だけど、とにかく楽しいのだ。いまだに職場と家の往復が続いているし、現場はないし、そして仕事の激務で体はしんどい。でも、休日やどうしても寝れない日にハガキを書くと、なんだかすっきりするしとても楽しい。

 

 今はハガキの中に、メンバーが着ていたり誌面で食べていたものをイラストに描くこと、メンバーカラーを入れることにハマっている。

 特に自担の目黒くんのレギュラーモデルをさせて頂いているFINEBOYSにハガキを書くときは気合を入れる。そして目黒くんが着ていた服の中から、可愛いと思った服の柄を入れることが、とにかく楽しい。

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 編集部にどこまで伝わっているかは分からないけれど、ハガキがメンバーにも届いていることは確かだ。目黒くんはFINEBOYSの撮影に行ったらお礼のハガキをたくさん見せてもらった、とブログで言っていたし、康二くんは実際に現場で読んでると言ったし写真をつけていた。それ以来私は以前よりも字に気をつけて書いている。と言ってもめっちゃ密なハガキになってしまうからあまり意味がないかもしれないけれど。今の私の課題は、読みやすいハガキだ。

 

 10センチ×15センチの世界に、ありったけの好きとお礼の想いを込める。出来上がった時の達成感がたまらない。

 

 次は、どんなハガキを書こうかな。そんなことを考えながら、今日も私は雑誌を開いて、テレビを見る。